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2018.10.03

中学生向け 学校教育

主体的に学ぶ フォーカス・オン・フォームの時代へ

学校での英語の指導法が激変します

多くの皆さんがイメージされる従来の英語の授業といえば、①教師による文法の説明→②文法確認の問題演習(適語補充、整序英作文、和文英訳等の反復演習)という指導法かと思います。

これでは一方的で、生徒にとって「主体的な学び」とはいえません。

 

もちろん、今までも対話を取り入れた指導は行なわれていますが、その多くは習ってきた文法の範囲内の定型的な対話文を暗記し、そのやりとりをするというもの。

対話を通じて新たな事柄に関心を持つような、深い学びの実現には繋がりにくいものです。

従来の中学校学習指導要領では、英語の指導方法には言及されておらず、現場の判断に委ねられていました。

 

これに対し、今後導入される新学習指導要領では、「指導計画の作成」において「生徒の主体的・対話的で深い学びの実現を図る」よう、配慮するように明記されています。

国内外の政治・経済の急速な変化や目まぐるしい技術革新など、千変万化の現代社会を生きていくには、未知の状況に対応できる思考・判断・表現力の育成や、学んだことを人生や社会に活かそうとする人間性の育成が欠かせません。

英語学習でも、対話を通じて社会的な関心事などについて「即興」で伝え合う、そうした能力を磨く指導法がこれに適うものです。

 

「主体的な学習」を促進する手法として今後の英語授業の主流となっていくと思われるのが「フォーカス・オン・フォーム」(以下FF)と呼ばれる指導法です。

従来の「形式(文法)」中心の指導では「意味(コミュニケーション)」には焦点が置かれないという問題点があるのに対し、FFでは「意味中心の活動の中」で文法の指導が行われます。

フォーカス・オン・フォームの指導とは?

では、FFの指導とは具体的にどんなやり方なのでしょうか。

 

例えば「昼食を食べに行きたいので、良い店があれば紹介してほしい」と頼まれる場面での対話を授業で扱う場合、従来の授業であれば、(必要性の実感も不十分なまま)先立って説明された文法を用いた、次のような「定型的」な会話を提示し、その通りに生徒にやりとりさせるという指導が中心です。

 

A:I want to have lunch. Do you know any good restaurants?
昼食をとりたいです。良いレストランを知っていますか? 

B:Yes. It’s near here. I’ll take you there.
はい。この近くです。お連れしますよ。

 

しかしこの会話は、現実的ではありません。普通は相手に喜んでもらおうと、先に相手の好み(好きな料理の種類や食べられない食材など)を確認するはずです。

 

そこでFFではまず、対話の場面設定(対話の目的、場面、相手)を具体的に提示し、生徒自身にその設定に相応しいやりとりを考えさせます。

すると生徒は、前述の相手の好みを問う表現や、紹介する店のお薦め料理を伝える表現、或いは店に着くまでの所要時間を伝える表現なども主体的に考えるはずです。

 

ただし、思い付く全ての表現が習ってきた文法で伝えられるとは限りませんし、正しい形式で表現できるとも限りません。

生徒が困ったり誤ったりした時点(つまり主体的に必要な表現を知りたいと思った段階)で初めて教師が必要な文法の説明をしたり、誤りを正したりします(注記:偶発的に当日の指導文法が決まるのではなく、指導者側が必然的に登場する未習文法表現を想定した場面設定を考えます)。

 

そして、生徒は必要な表現を理解した上で、場面設定に合う対話練習を行う、というのが授業の流れです。

対話はこの例でも明らかですが、相手への配慮が要求されます。それを通じて相手の背景にあるもの(仕事や文化、慣習など)への関心を持ち、相手と共感できる感性を磨くことに繋がります。

 

中学校での新学習指導要領の完全実施は2021年度です。3年後に中学の英語指導法がこのように変化する中で、皆さんはどのような準備をすればよいでしょうか。

教育産業界では既に学校に先立ち、FFに即した教材の作成や指導法の導入が見受けられます。生徒の皆さんには少しでも早く新しい指導法に触れ、慣れ親しんでいただくことが大切だと思います。

そしてその指導法の目的を十分に理解した上で「他者との積極的な関わりから学びを得られる人間」への成長に繋げていただきたいと思います。

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