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2018.06.06
中学生向け
なぜ中学校に進むと英語が苦手になるのか?
中1後半がターニングポイント
英語教育が大きく変化しようとしています。これまで小学生の英語学習は「英語に親しむ」ことが中心でしたが、これからは単語を覚えるなどより本格的な学習を行うことになっています。
では、今回の大改訂は、現状の英語教育のどんな課題を解決しようとしているのでしょうか。
これまでの小学校教育では、5・6年生で外国語活動を実施していました。これは英語に慣れ親しむ活動が中心であり、歌やゲームを活用して「話す」「聞く」活動が中心でした。
その結果、英語を好きになる子は確実に増えています。
平成26年に小学5・6年生に行った調査によると、
英語が好き 70.9%
英語の授業内容を理解している 65.2%
となりました。3年前の調査時よりも英語が好きな子どもは0.2%増加し、内容を理解している子どもは4.3%増加していますので、一定の効果は得られていたと考えられます。
ところが、中学生になると状況が変わってしまいます。同じ質問を中学生に尋ねたところ、
英語が好き 中学1年生61.6%
中学2年生50.3%
英語の授業内容を理解している 中学1年生 57.0%
中学2年生 48.9%
と、学年が上がるほど大きく減少しています。
文法事項が難しくなってくる中学1年生後半あたりから苦手意識を持つ子どもが増えてくると考えられます。
調査参照:「平成26年度小学校外国語活動実施状況調査」
子どもたちは何が苦手なのか
もう少し細かく調査結果を見てみましょう。
Q 外国語活動での学習が中学で役立ったか(中1)
・アルファベットを読むこと 88.8%
・アルファベットを書くこと 83.9%
・英語で簡単な活動をすること 82.8%
・英語の発音の練習をすること 75.8%
・友だちや先生などが英語で話しているのを聞くこと 73.2%
Q 小学校の外国語活動でもっと学習しておきたかったこと(中1)
・英単語を書くこと 83.7%
・英語の文を書くこと 80.9%
・英単語を読むこと 80.1%
・英語の文を読むこと 79.8%
・英語の発音を練習すること 74.6%
調査参照:「平成26年度小学校外国語活動実施状況調査」
子どもたちが役立ったと感じている簡単な会話や発音は、今まで小学校で実施してきている「外国語活動」の中心ですので、やはり、これまでの英語学習に一定の効果はあったと考えられます。一方で、もっと学習しておきたかったことの上位に「書くこと」「読むこと」が挙がっています。これが、中学校で苦手意識が出てしまう一つの要因と考えられます。
4本柱をバランス良く身につけるには
「聞く」「話す」「書く」「読む」は英語学習の4本柱。今後の小学校での英語教育は、今まで以上に「聞く」「話す」を重要視していきます。授業時間数も増加し、英語に触れる機会も大きく増加します。英語は今よりもっと身近なものになっていくでしょう。
しかし、一方で、高校入試や大学入試を考えた場合、「書く」「読む」練習もどうしても必要です。子どもたちの成長を長い目で見たら、早いうちから学校以外で「書く」「読む」練習を今まで以上にしていくことが大切なのです。
小学校で「聞く」「話す」を楽しみ、学校外で「書く」「読む」を伸ばす、その相乗効果によって、本物の英語力が磨かれるのではないかと思います。