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2018.09.20
学校教育
「デジタル教科書」が 正式な教科書に!
今後使われる「デジタル教科書」とは?
タブレット端末などで利用できる「デジタル教科書」を正式な教科書と位置付ける改正学校教育法が、2018年5月25日の国会で可決、成立しました。
「教育の情報化」に対応し、「主体的・対話的で深い学び」の視点からの授業改善のため、文部科学省は小学校で新学習指導要領が全面実施される2020年度以降、本格普及させたい考えです。
「デジタル教科書」は紙の教科書と同じ内容ですが、音声や動画なども扱えるため、特に英語や数学、理科などで学習効果が高まると期待されています。また、文字の拡大や音声読み上げ機能も備わっているため、それらを使えば障害などのある児童生徒の学習にも効果があると期待されています。
改正前は、授業で紙の教科書を使用しなければならなかったので、「デジタル教科書」は副教材扱いとなっていました。改正後でも引き続き紙の教科書が給付され、「デジタル教科書」と一緒に使用することが想定されています。
ただし、視覚障害や発達障害などの理由で通常の紙の教科書を使った学習が困難な児童生徒に対してはすべての教育課程で「デジタル教科書」が使用できるようになりました。
また、文部科学省は「デジタル教科書」の使用の前提となるタブレット端末の普及や校内LAN、インターネット接続などネットワーク環境の整備を別途推進していく考えです。
デジタル化で気になる地域格差
それでは、現在、「デジタル教科書」はどの程度全国に普及しているのでしょうか。
2018年2月に公表された、「学校における教育の情報化の実態に関する調査」の結果によると、「デジタル教科書」の整備状況は、
〈データ1〉
小学校(52.1%)
中学校(58.2%)
高等学校(12.5%)
となっています。
また、整備率を都道府県別にみると、以下の通りになっています。
〈データ2〉
・整備率が高い
佐賀県(98.7%)
石川県(83.1%)
沖縄県(80.3%)
徳島県(73.9%)
熊本県(73.0%)
・整備率が低い
北海道(16.5%)
島根県(25.9%)
鳥取県(26.6%)
岩手県(27.8%)
青森県(29.4%)
ここでいう「デジタル教科書」は2017年3月1日現在、学校で使用している教科書に準拠し、教員が電子黒板を用いて児童生徒への指導用に活用するデジタルコンテンツを指しています。
〈データ1〉により、2020年から新学力指導要領が全面実施される小学校で現状、2校に1校程度の割合しか整備されていないことと、高等学校での整備が大きく遅れていることがわかります。
また〈データ2〉により、全国の自治体間の格差が非常に大きく、整備率が高い地域と低い地域では約6倍の差があることがわかります。義務教育である小中学校の教科書は現在無償ですが、紙の教科書と「デジタル教科書」の併用段階では「デジタル教科書」の方は無償としないため、自治体や保護者にその費用負担が生じることになります。
端末などの費用をうまくまかなえるかどうかで「デジタル教科書」の整備率において自治体間でさらなる格差を生じさせる懸念もあります。「デジタル教科書の整備率の格差」=「生徒の学力格差」につながることが予想され、高校受験や大学受験など他の自治体の生徒と学力を競う場合に不利益を被る可能性も否定できません。
今後は全国の動向はもとより、自分たちの住む自治体の「デジタル教科書・教材」や「ICT(情報通信技術)」活用などへの取り組みを注視する必要があります。また、児童生徒に最も良い学習環境が与えられるためには、国や自治体に頼りきらずに、自ら必要な情報を収集し、必要な対策を講じるという自助努力が求められています。そこに私たち私塾(予備校)の存在意義があります。
参考:
文部科学省HP
政府統計の総合窓口
東京書籍
https://www.tokyo-shoseki.co.jp/ict/feature/j/textbook
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