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2020年11月02日
【コラム】人間の力
昔教えていた生徒(もう10年くらい前かな?)
突然倒れ、脳の一部を取った子がいます。
何でも一生懸命な子でした。
スポーツも万能。
リーダーシップを取るような明るい子でした。
先生は半年くらい経ってからお見舞いに行きました。
もちろん、紙は短く、可愛らしい帽子を被っていました。
とってもニコニコ、笑顔は病気になる前と一緒でした。
先生の顔は覚えていないみたい…。
でも、だんだん慣れて来て、たくさんニコニコ笑顔を向けてくれました。
お母さまにお会いして、お話をしました。
人の顔を認識するのに少し苦労している。
少し体を動かすのが大変にみたい。
声を発するのも、はじめは苦労したとか。
勉強をしたいみたいで、鉛筆持って字を書いたり、数字を書いたりしているみたいでした。
もちろん、病院併設の学校にも行っています。
そこで、九九はできないけど、四則計算ができる。
九九だけだと分からないけど、掛け算のひっ算だったらできる。
人間の力というのはすごいなぁと感じました。
そこでお母さまがおっしゃっていました。
「先生、勉強は生きるための手段ですよ。うちの子を見て痛感しました。自転車を買ってあげて、PCも買ってあげてと思っていたけど、それよりも、勉強を頑張ってきたことで、秀英で学んだことをしっかり覚えていて、できています。もしかしたら…。と思ったけど、ものよりも、身に付けるものこそ生きるために本当に必要なもの。先生、これからも、多くの生徒達に、勉強は生きるために必要だよ、って言って、たくさん身に付けさせてあげて下さい。」
「勉強は生きるための手段」
手段の対義語は、目的です。
何か目的を成しえるために、手段が必要です。
勉強が生きるために手段だとしたら、君たちが豊かに生きるためには、多くの知恵や知識、応用力を身に付けていくことがとても大切なのかな、と先生は思うのです。
人間の力は、産まれてからの過ごし方、いろいろなものを知ること、学ぶこと、経験することで、どんどん大きな力になっていくんだな~。
この時期の出来事でしたので、毎年、10月末になると思い出します。
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