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  • 対面授業 高校生

2021年09月18日
贅沢は味方

こんばんは。英語科の河野です。
先週の木下先生のブログでお話に上がった、夏目漱石は、木曜会で漱石の門下生と交流し、多くの学者、教育者、文化人を輩出したことでも知られていますが、その門下生の中でも著名で、漱石への師事も強かった門下生の1人と言えば、芥川龍之介を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。
後世が読むべき多くの作品を残した芥川は、高校生の頃はもちろん、それ以前から幅広く本を読み漁っていたようです。当時は、今のように、学習参考書などはほとんどありませんから、古典の原典、英語の原書や歴史書などを読み、知識・教養を深めていきました。そんな芥川の勉学の意欲の支えとなったのは、学問を通じて精神的に高いものになろうとする知的貪欲でした。芥川が生きた明治の終わりから昭和の初め頃というのは、現代よりはるかに、知識というものが権威化・特権化されたものだったのでしょう。岩波文庫の創設者である岩波茂雄は、岩波文庫の創刊に際して、「かつては民を愚昧ならしめるために学芸が最も狭き堂宇に閉鎖されたことがあった。今や知識と美とを特権階級の独占より奪い返すことはつねに進取的なる民衆の切実なる要求である。岩波文庫はこの要求に応じそれに励まされて生まれた。それは生命ある不朽の書を少数者の書斎と研究室とより解放して街頭にくまなく立たしめ民衆に伍せしめるであろう。」と書いています。当時は、本を読むこと自体、お金持ちか学者に許された贅沢であり、実際、中流階級生まれの芥川は十分に本が買えず、貸本屋や図書館に足しげく通って知識を体得したようです。本も情報も手に入る現代ですが、知的貪欲なくしては、精神的に貧しくなってしまうのかもしれません。

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