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2021年07月29日
こわーい話2
「サイコパス風ドラえもん」絵描き担当の永田です。
7月も終わりですね。本田さんが「こわーい話」を書いていたので
私も「こわーい話」を書いてみようと決心しました。
記憶をたどると、それは今思えば、怖いというより
不思議な話です。昔のことは大体忘れていますが、あれは不思議と
胸に残っている。
あれは私が保育園に通っていたころのことでした。
私の通っていた保育園は、山間の集落にあり、散歩の時間になると
奥の集落に続く長い道沿いを、先生に連れられて集団で歩いていく
のでした。コンクリートの道は、山の木々の陰になっていて、その
木々のすき間を覗き見ていると、かかしのような人形が斜めの方角
を向いているのです。その時の僕はそれを見てなぜか郵便ポスト
だと直感しました。(たぶん色が赤かった、そして胴体に小さなすき間が開いていて、そこを手紙入れと思い込んだのだと思う。)
山のなかに人形の郵便ポストがあるなんておかしい、と思うはずで
すが、幼い私は当たり前のようにその存在を受け入れました。
その日の保育園が終わって、帰ってから妙に人形の郵便ポストが
気になったので、今は亡き祖父に頼んで、その人形の郵便ポ
ストがあるところへ車で連れて行ってもらいました。しかし、確か
にここだと思った場所に行ったのに、それはいくら探しても見つか
りませんでした。あるいは、場所を間違えていたのかもしれません
が、たった一度見ただけで、あの人形の郵便ポストは姿を消しまし
た。あの人形は何だったのだろうか。
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