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2023.01.31
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【理科】二度と観測できない!? 月食と天王星食の同時発生
月食が起こるしくみと月が赤っぽく見える理由
少し前の話ですが,2022年11月8日の夜,
話題になったので,見た人も多かったのではないでしょうか。
日本で見られた皆既月食は,2021年5月26日以来でしたが,今回は,同時に天王星食も起きました。
月食や
月食は下の表のようによく起こり,2022年の惑星食は5月27日の金星食と,7月22日の火星食がありました。
表:今後,日本で観測できる月食
日時 | 月食の種類 |
---|---|
2023年10月29日 | 部分月食 |
2025年3月14日 | 皆既月食 |
2025年9月8日 | 皆既月食 |
2026年3月3日 | 皆既月食 |
2028年7月7日 | 部分月食 |
2029年1月1日 | 皆既月食 |
2029年12月21日 | 皆既月食 |
2030年6月16日 | 部分月食 |
しかし,月食と惑星食が同時に起こることは珍しく,2022年の前に日本で皆既月食中に惑星食が起こったのは,442年前の1580年7月の土星食だそうです。
また,次に日本国内で皆既月食中に惑星食が起こるのは,322年後の2344年7月26日の土星食です。
つまり,今回のような皆既月食と惑星食が同時に起こる現象は,(現代人が)二度と観測できない貴重なものでした。
月食は,下の図のように,太陽,地球,月の順に一直線に並んで,月が地球の影に入ることで起こります。
このとき,月全体が地球の影に入ることを皆既月食,一部が入ることを部分月食といいます。
この月食は,必ず満月(太陽,地球,月の順に並ぶ)の日に起こりますが,満月の日に必ず月食が起きるわけではありません。
それは,月の公転軌道(月が地球のまわりを回る運動の道すじ)が地球の公転軌道(地球が太陽のまわりを回る運動の道すじ)に対して約5度傾いていて,満月に見えるときの月が地球の影の上下(黄道面の南北)にずれることがよくあるからです。
そのずれが小さいとき,地球の影の中に月が入って,月食は起こります。よって,1年間では数回しか起こらない現象となっています。
皆既月食のとき,月全体が地球の影の中に入っているので,地球から月は見えないのでは…と思うかもしれません。
しかし,月は真っ暗にはならず,見ることができます。これは,皆既月食のときの月には,地球の大気で屈折した太陽光が届いて,月を照らすからです。
また,皆既月食のときの月は,赤っぽい色で見えます。赤っぽい色で見えることは,
大気中を進む太陽光のうち,波長の短い青色の光は大気によって散乱されて,ほとんど月まで届きません。
しかし,波長の長い赤色の光は散乱されにくく,月まで届きます。
この光の散乱のため,皆既月食のとき,月は赤っぽい色に見えます。
天王星食は,地球,月,天王星の順に一直線に並び,天王星が月に隠されることで起こります。
天王星食は,始まる時刻が場所によって異なり,今回は札幌20時49分,東京20時41分,那覇20時13分で,終わった時刻も同様で,札幌21時47分,東京21時22分,那覇20時54分でした。
天王星の明るさは約6等星で,うすい青色に見えます。
皆既月食中の月は普段よりも暗いですが,6等星は条件の良い空でも肉眼で見える限界の明るさであることから,肉眼での観測は難しかったと思います。
文:教務課スタッフ O